退職するとき、自分のメールをきちんと持ち出す方法
会社のメールボックスから常識的に持ち出せるものと、置いていくべきもの。アカウントが止まる前にGmail、Outlook、Apple Mail、Thunderbirdから書き出す手順と、いま開いた形式に変換しておく理由。
書き出す前に確認を取り、その返事を文面で残し、最終出社日の少なくとも2週間前に済ませる。方法はそれだけです。あとはどのメニューを押すか、どの形式に着地させるかという話にすぎません。
失敗の仕方は二通りあります。何も持ち出さずに10年分の自分の業務上のやり取りを失うか、最後の午後に全部さらって、触るべきでなかった顧客データベースの写しを抱えてしまうか。
線はどこに引けるのか、そして誰も代わりに引けない理由
会社のメールボックスの中で何が誰のものかについて、万国共通の規則はありません。国によって、雇用契約によって、会社の規程によって、そして中身の種類によって変わります。ネット上でそれを言い切る文章は、この記事も含めて、あなたの事情については当て推量です。できるのは、メールを三つの山に分けて、どれがどれなのかを正直に認めることです。
明らかに自分のもの。 給与明細、雇用契約書とその変更覚書、研修の修了証、自分が書いた評価文、誰かが送ってくれた推薦状、そして一日十一時間そのアドレスを使っていたからそこに届いてしまった私的なメール。
明らかに会社のもの。 顧客リスト、価格表、ソースコード、未発表の計画、取引先との契約書、社外秘と記されたもの一切。そしていちばん明白なのが、他人の個人データを含むものです。顧客とのやり取りが入ったフォルダは、特定できる個人の個人データが入ったフォルダにほかなりません。それを自分のノートパソコンにコピーすれば、本来あってはならない場所へデータを移したことになり、GDPRやお住まいの国の同等の法律のもとでは、静かな退職を正式な苦情や通報に変えるのはまさにこれです。ここは丁寧に頼めば済む話ではありません。置いていってください。
その中間。 自分の送信済みメール、実際に仕事をしたスレッド、いつか説明する必要が出るかもしれない案件の経緯。人がつまずくのはこの山です。どう見ても自分のもののように感じられ、しかもどう見ても自分のものではない材料がしばしば混ざっています。
争いが起きる前に終わらせる、二行のメール
この記事でいちばん役に立つのはここです。何かに手をつける前に、人事か上司に次の文面を送ってください。
最終出社日までに、自分の業務上のやり取りと、給与明細・雇用契約書・修了証といった個人の書類の控えを手元に残したいと考えています。差し支えないかご確認いただき、除外すべきものがあればお知らせいただけますか。
返信は保存しておきます。2分で済み、無断で何かを持ち出したのかどうかという曖昧さが消えます。しかも頼んだ以上の結果になることが多い。会社側で書き出しをやってしまいたいところは珍しくないからです。断られた場合も、まだ話し合う時間が残っているうちに分かります。
アカウントは最終日に死ぬ。誰も教えてくれない
権限の停止はたいてい退職日に自動で走ります。営業、財務、規制業種では、退職日ではなく退職を申し出た日にアクセスが切られることもあります。どちらにせよ予告はありません。ある朝パスワードが通らなくなり、その時点でもうメールボックスは問い合わせられる場所ではなくなっています。
まったく書き出してはいけない場合が一つあります。メールボックスが訴訟ホールドの対象になっている、あるいはeDiscoveryの要請に巻き込まれている場合です。意図的に凍結されているものであり、そこから複製するのは重大な問題になります。訴訟、監査、規制当局の話が少しでも出ているなら、まず確認してください。
それ以外は、2週間前から始めてください。書き出したら結果を実際に開き、まだ手直しできるアクセス権があるうちに欠けがないか確かめます。
使っているものに応じた書き出し方
Google Workspace。 Google TakeoutはメールボックスをMBOXで書き出します。手順の全体はこちら。会社アカウント特有の落とし穴として、管理者はドメイン単位でTakeoutを無効にできますし、実際に無効にしている組織は多い。大きな書き出しは準備に数日かかることがあるので、当てにする前に使えるかどうかを確かめてください。
OutlookとMicrosoft 365。 WindowsのデスクトップOutlookは ファイル → 開く/エクスポート → インポート/エクスポート → ファイルにエクスポート → Outlook データ ファイル (.pst) から書き出します。Outlook for Macは独自のエクスポート機能で .olm を作ります。PST も OLM も開かれた形式ではなく、どちらも読むのにOutlookが要ります。まずファイルを手に入れ、それから MBOXに変換してください。ブラウザ版と新しいOutlookにはこの種の書き出しがありません。従来のデスクトップ版が必要です。
Apple Mail。 メールボックスを選び、メールボックス → 「メールボックスを書き出す…」 で保存先を指定します。出てくるのは .mbox で終わるフォルダで、メールはその中にあります。ここで驚く人が多いのですが、その構造はこちらで説明しています。
Thunderbird。 書き出すものはありません。プロファイルフォルダの中のファイルが、フォルダごとに一つずつ、拡張子なしで、すでにMBOXファイルそのものです。取り出してコピーすればそのまま開きます。
変換は今週やる。5年後ではなく
PSTやOLMが手元に残ったなら、道具が入っていて細かい事情を覚えているうちに変換してください。
理由は退屈で、そのぶん確実です。5年後、あなたのパソコンにOutlookは入っていません。ライセンスもなければ、有効化するための会社アカウントもなく、1通のメールを読むためにメールソフトを入れる気力もありません。独自形式の入れ物は、必要になったまさにその瞬間に特定のソフトがまだ手に入る、という賭けです。そしてその瞬間は、ソフトも時間も持ち合わせていない瞬間でもあります。MBOXはメッセージの区切り行が入っただけのプレーンテキストで、どのシステムのどのビューアでも開きます。
どこに置き、何年も後に契約書1通をどう探すか
離れた2か所にコピーを1つずつ、そして未来の自分が読んで分かるファイル名を。export.pst はファイル名ではありません。acme-2018-2026-work-mail.mbox は見出しです。
このファイルに戻ってくる理由は一つだけです。誰かが特定の合意、特定の約束、特定の日付について尋ねてくる。たいてい何年もあとで、たいてい急ぎで。つまりこの保管庫は、しまってあるだけでなく検索できなければ意味がありません。差出人、期間、添付の有無、完全一致のフレーズといったまともな検索演算子が使えるビューアなら、午後いっぱいのスクロールが4件の結果に変わります。
そしてその検索は手元でやってください。業務の保管庫には他人のアドレスと、正当に関与しただけで自分の所有物ではない材料が入っています。中を見るためだけにそれをどこかのサイトへアップロードすることが、丁寧な書き出しを事故に変える唯一の行為です。Mbox ViewerはMacでもPCでも、アカウントも接続もなしにMBOXファイルを読みます。1 GBまでのメールボックスは無料で開けます。
退職手続きを回す側の人へ
方針は誰かが辞めると言い出す前に決めておきます。退職者が何を持ち出してよいかを文書にし、オフボーディングのチェックリストに入れ、書き出しはこちらでやると申し出てください。範囲を定めた統制された書き出しのほうが、最後の週に本人が私用アドレスへ400通を転送するよりはるかに安全です。説明のない「だめだ」が招くのは、まさにその転送です。そして退職者のメールボックスは、義務が求める期間だけ、誰も更新しなかったライセンスなしに後任が読める開かれた形式で保管してください。
Mbox Viewer でアーカイブを開く
Mac・Windows・Linux のネイティブ アプリ。あらゆるサイズの MBOX・EML ファイルを完全にオフラインでストリーミングします。